FarCry4(ファークライ4) クリア後の感想など ※軽度のネタバレ含む
新たなロケーションにて、また新たな狂気。
その実態は良くも悪くも、よく出来た前作の焼き直しに近い。
ということで昨日書いたFarCry3の続編、FarCry4のクリア後感想になります。
続編とは言ってもお話は独立したものであり、3をやってないとわからないという内容はほぼありません(本当にごく一部、知ってるとニヤリとする要素もあり)。
簡単なあらすじ。
主人公エイジェイは、遺言に従って母を弔うべく、遺骨とともに生まれ故郷の小国キラットを訪れていた。キラットは現在、ひとりの独裁者に統治されているという。内紛が続き、情勢が安定しない治安の悪い土地だった。エイジェイも、到着早々王立軍と反乱軍の戦闘に巻き込まれてしまう。
その際、まさにその独裁者であるパガン・ミンと出会い、なぜか歓待を受けることとなったエイジェイ。この後に彼が辿ることとなる、狂気に満ちた運命とは……。
前作同様、Steam版をプレイしてます。
Steamのストアページはこちらから。
https://store.steampowered.com/app/298110/Far_Cry_4/
パッケージに描かれた派手なスーツの男がパガン・ミン。本作のラスボスであり、キーマンであり、ある意味での主人公でもあります。
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前作に引き続き非常によくできたゲームです。いわゆるオープンワールドの箱庭は非常に広大で、様々なロケーションに富み、多くの野生動物が生息しています。
前作のラクヤット、海賊に相当する味方勢力、敵勢力も登場し、キャンペーンシナリオ以外にも各地で突発的に発生するカルマイベント等で彼らに関わっていくことになります。
前作同様に野生動物の皮を素材とした各種カバンの作成、強化といったクラフト要素があり、同時に素材を獲得するための狩りもあります。電波塔に相当するベル・タワー、また基地の開放によってファストトラベル先を増やしていく要素も続投。
……とここまで前作前作前作と言葉が続いたわけですが、実際のところ、本作は非常に完成度の高かったオープンワールドFPS(&RPG)であった前作の、ほぼほぼロケーションを切り替えただけの焼き直しと言っても遜色のない内容となっています。
基本的にやることは変わりません。ベル・タワーを開放してマップを開き、基地を占拠して支配地域を広げ、寄り道しつつキャンペーンを追いかける。
敵の親玉はぶっ飛んでいて実に狂気的。一方やたらタフな主人公はバリバリ敵を殺しまくって情勢を覆し続けていく。
うん、ほぼプレイ感覚は前作と変わりません。では本作は退屈で面白みのないタイトルなのか? いやそうではない。面白いんです、やっぱり。良くも悪くも。
まずロケーションが変わったことはすごく大きいです。前作が風光明媚な南国の島々で、どこまでいってもそればかりだったのに対して、本作は深い山中の小国キラットが舞台。ネパールをモデルにしたらしいエスニック&エキゾチックな風景は異国情緒にあふれ、また中盤以降訪れることになるマップ北部では雪の気配が色濃くなってまた景色が変化する。時には深雪のヒマラヤ山脈に足を伸ばすことも。
グラフィックは前作よりもやや進化を感じます。よりフォトリアル的な世界の描写に成功しており、没入感はかなりのもの。それによって、あちこち出歩く際の楽しみは(特に始めたばかりの頃は)非常に大きいものがありました。
次にシステム面。前作の(小さな)不満点であった、「アイテムを拾う際にいちいちルートする動作が描写される」ことについて、描写をオンオフ切り替え可能となっていたのが実にGOODです。
クラフトに関しては、特にシリンジ(薬品類)について、緑の葉を2枚獲得したら自動的にライフ回復薬が作成される等やや簡略化されています。前作ではいちいちメニューを開くのが地味に手間であり、没入感の妨げであったのでこれも良い変更点。
スキルについて、同様に前作では3ページに分割されていたスキルツリーが1画面におさまるように配置されたのも良いと思います。
とまぁこんな感じで、概ね前作をよりブラッシュアップして使いやすくした感じで好印象です。
シナリオについて。前作では「平凡な青年が、その内面で徐々に狂気を肥大化させていく」様が描かれていたのに対し、今作で描かれたのは「誰もが当たり前のように狂気を持ち合わせている」様であったように感じました。
独裁者パガン・ミンが狂気の象徴であることは言うに及ばず、同時に彼の排斥を求める反乱軍のリーダー2名もまた、自身の信じる正義のもとに、物語の結末において明らかな狂気を見せつけてきます。それだけではなく、エイジェイの両親までもが。
面白いと思うのが、そんな狂気に満ち満ちた彼らではありますが、それと同時にその主義主張にはどれも一理はあるということ。前作のバースのように支離滅裂で刹那的な面ばかりが強調されるわけでもなく、狂王パガン・ミンですら、時に真っ当な主張をエイジェイに説き聞かせることもあります。
そんな狂気にあふれたこの小国において、果たしてエイジェイは何を、誰を、どのように選択をすべきなのか。その選択は正しいものであったのか。前作から引き続き、また少し違った切り口で、なかなか考えさせられるお話であったと思います。
欠点については、やはり前作とほぼ同じで。やることが基本変わらないので、多少ゲームに慣れてきた頃の中弛みが小さくないこと。それと、良い意味でも悪い意味でもやはり前作とそれほど変わっていないこと。
逆に言えば前作をやって、これと同じゲームをまたやりたい! という人がいたら本作は最高の続編になるのかもしれません(良作だった過去タイトルのほぼ焼き直しの新作を望むシリーズファン、というのはゲーム界隈においてはそう珍しくない気もします)。
本作にはエンディングが3つ用意されているそうで、そのいずれも(特にシークレット扱いのものは)プレイヤーにとって非常に皮肉のきいた内容になっている模様。
こういう辺りも、時に過剰なくらいにユーザーに対してフレンドリーであろうとしがちな国産ゲームではなかなか見られない特徴であって、海外産ゲームをやる醍醐味のひとつかもなぁなんて思う僕でした。
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【個人的評点】
シナリオ :★★★★☆
システム :★★★☆☆
グラフィック:★★★☆☆
操作性 :★★★☆☆
音楽 :★☆☆☆☆
ほぼ前述の通りですが、多少補足。
操作性は、なんだか乗り物の運転が前作に比べて非常にやりやすくなったような気がしたのでプラス1。単に慣れただけだろうか?
音楽は相変わらずあんまり重要視されてない感じ。まぁオープンワールドのFPSでフィールド上に勇壮で印象的な行進マーチが流れてもアレですけども。
終盤、パガン・ミンの王宮に攻め入る際の曲はすごく印象的でしたけどそのくらい。
あと言い忘れてましたけど、開発元のロゴが出る演出(色鮮やかな砂が吹きこぼされて、それで形作られるアレ)とかはすごく世界観にマッチしててかっこいいなぁと思いました。こういうの地味に作品の印象に関わってくるので大事だと思う。
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進行度(2019年8月27日現在)。エンディング3つのうち自力で見たのはまだ1つ。シークレットはサクッと見られるので近々見ようと思います。
収集品はまだまだ集め終わってませんがこちらも気が向いたら……。モハン・ゲールの日記は背景の把握にすごく深く関わってくるのでなるべく集めたいところ。あと地味に手紙の件も気になっている。