となくんのお気に入りゲーム紹介 ~なんなん放送局通信~

なんなん放送局より、お気に入りのゲームについて色々書く予定です。

FarCry3(ファークライ3) クリア後の感想など ※軽度のネタバレ含む

 色んな意味で日本のゲームにはできないシナリオだろうなぁという感じ。

 クリアしてからはだいぶ時間が経ってますが、個人的な感想などを。 

 簡単なあらすじ。
 主人公ジェイソン・ブロディは、恋人のリザや兄弟、友人たちと南国でバカンスを楽しんでいた。ハメを外して遊び惚けていた彼らだったが、スカイダイビングの際に誤って海賊の支配する無法の島に降りてしまったことから身柄を拘束されてしまう。
 命からがら海賊のキャンプから逃げ出したジェイソンは、島の原住民ラクヤットとともに仲間の救出のための戦いを始めるのだが……。

 僕がプレイしたのはSteam版(正確には5を買った時についてきたクラシックエディション)です。

 Steam版はこちらから。
 https://store.steampowered.com/app/220240/Far_Cry_3/

 本作は僕が本格的にプレイした初めてのFPSとなりました。ゲームファンの間ではかなり有名なタイトルでもあります。

 * * *

 そんなわけで他のFPSとゲーム進行やらシステムについて比較することができないので、その辺りの評価はあまり正確にはできません。
 野生動物を狩ることで素材を得、カバンを強化していくクラフト要素。島の各地にある電波塔を開放することで開けていくマップ。海賊の基地、拠点を制圧してファストトラベル先が増えていく、等。感触としては全体的に手堅くまとまっていたんじゃないかなぁという感じ。
 何か特別に不便なこととかストレスな要素というのもあまりなく、最初から最後まで楽しく物騒なバカンスを楽しめたように思います。
 ただ、ゲーム開始時点から終わりまでやることがあまり変わらないので、中盤辺りで飽きて脱落する人もそれなりにいそうな気もします(わかる人には、UBIらしいゲームと言えば通じるそうで)。
 ひとつ注文をつけるとしたら、アイテムを拾う際にいちいちジェイソンがそれをルートする動作が入るのですが、描写をスキップする設定が欲しかったとは思います。頻度が頻度だけに(ちなみに続編の4ではスキップ設定がありました。同じように感じた人が発売当時からそれなりに多かったのかしら)。

 さてこのゲームの売りは、個人的にはシナリオ部分だと思っていてですね。
 主人公ジェイソンは多少ヤンチャな部分はあってもそれまで平凡に生きてきた普通の青年。それが突如、狂気の海賊に支配された島々で命をかけた戦いを繰り広げることになってしまいます。
 自分が同じ立場であったら速攻精神的に参りそうな状況ですが、ジェイソンはそこで尋常でない適応力を発揮。ステルス暗殺術テイクダウンに開眼、銃器や重火器の扱いも何のその。元々スポーツで活躍していたアスリートだったということで身体能力自体は高かったんでしょうが、それにしても次から次へと襲い来る脅威を退け、どこのインディ・ジョーンズ(あるいはララ・クロフト)かと思うような冒険を繰り広げ、海賊たちをちぎっては投げちぎっては投げの大奮闘。プロローグの時点では意図せず人を刺してしまったくらいで動揺していたのが嘘のよう。
 とは言ってもまぁ、ゲームですからね。FPSの主人公が銃も握れませんじゃお話にならないわけですよ。オープニングが明けて自由に操作できるようになったらその時点で彼は無敵のヒーローとなる権利を得たも同然なわけです。そして実際、ジェイソンは無敵の存在として島を駆け回り始めます。
 時には調子に乗りすぎてゲームオーバーになったりもするけれど、それでもプレイを放棄することがなければ、必ずジェイソンは海賊に勝てるわけです。
 これそういうゲームなんで。あきらめさえしなければ、勝利は約束されている。海賊たちはみな哀れなやられ役。やつらを撃退していくごとに、島の戦士ラクヤットたちは自分のことを認め、称えてくれる。そう、ジェイソンはこの島のヒーロー。そしてジェイソンを操っている僕らプレイヤーもまたヒーロー。バンバン敵を殺していこう。

 このゲームの肝心なところは、そこで待ったをかけてくる存在がいるということです。海賊に囚われていたジェイソンの仲間たち。彼らはジェイソンに感謝の言葉を返しつつ、それと同時に困惑を覚えます。
「あれ、ジェイソンってこんなキャラだったっけ?」

 ジェイソンというのはどこにでもいるような平凡な青年です。彼はどんな人間か。ゲーム中で閲覧できる資料でもほのめかしていましたが、『これが自分の生きる道だ』というものを見つけることができず、かといってそれでもいいやと開き直ることもできず、あまり表には出さなかったもののどことなく鬱屈としたものを内面に抱えた男であったようです。
 彼を取り囲む周囲の人々はというと、兄グラントは陸軍予備役に配属されている屈強な男であり、恋人のリザは新進気鋭、まさに今から成功の道を歩み始めるハリウッド女優。友人はくだらない悩みなどない大金持ちのボンボン息子、兄の彼女はプロ級のスイマー。そんな彼らとともに過ごす中で、自分の取り柄は何なのだろう、自分は何のために生きているのだろう、なんていうありがちなコンプレックスを抱えつつ、それを口にする度胸もなく、ジェイソンは日々を送っていたのだろうと思われます。

 そんな中で突然やってきた危機。命がけで海賊と戦い、親しい仲間たちを魔の手から救い出す。その物騒で狂気的な島での日々は、あろうことかジェイソンに生きている実感を与えてしまう。そしてジェイソンは思う。ここが自分の居場所である、と。

 物語のキーマンとして登場する狂気の海賊バース(パッケージに大きく映っている男)の言動は、よくよく聞いてみるとなかなか示唆に富んだものも多く、変わっていくジェイソン、そして彼を操るプレイヤーの心情と照らし合わせてみると面白いと思います。
 そしてジェイソンを戦いに導くラクヤットの頭目、シトラ。恋人リザとの対比が、シナリオの終盤で強烈にクローズアップされた時、ジェイソンは、プレイヤーは最後の決断を迫られる……。

 FPSというジャンルはどうしても内容的にイコール暴力的なゲーム、という括り方をされがちではあります。実際FarCry3は実に暴力的なゲームです。
 変わっているのは、その暴力的なゲームのシナリオが、自らを鑑みるがごとくこれは暴力的なゲームだとことさらプレイヤーに意識させてくる部分。だから良い、だから悪いということを言いたいのではないにせよ、かなり皮肉の効いた構成です。

 平凡な男だと思われたジェイソンが発露した狂気は、果たして彼だけのものであったか。自らの空虚さを島の狂気と暴力で埋めようとして、その快楽に酔っていた彼は、果たしてあの後幸せになることができたのか。
 長い長いスタッフロールをぼんやりと眺めつつ、どちらを選んでも苦いその結末をじっくりと味わうとなくんでした。

 * * *

【個人的評点】
 シナリオ  :★★★★☆
 システム  :★★★☆☆
 グラフィック:★★★☆☆
 操作性   :★★☆☆☆
 音楽    :★☆☆☆☆

 シナリオは前述の通り。皮肉のきいた内省的な内容であり、示唆に富む。好みはわかれると思う(あまりシナリオを意識しなくてもまぁまぁ楽しめるゲームではある)。
 どうしても海外産のゲームということもあって、登場人物の会話のニュアンス、ジョークの面白みが読み取りづらいところもままある。

 システムも前述の通り、無難で手堅くまとまっている印象。今後は僕にとってはこれがFPSのスタンダードになってくるものと思います。

 グラフィックに関しては不満はなし。高いところから飛び降りる時の恐怖感もあり、今そこにいる感覚はじゅうぶんにあった。細かいところを見たらアレだが、わりと前にリリースされたゲームなので最新作と比較してはいけない。

 操作性について、スティックだと乗り物の運転がしづらかったこと、電波塔攻略時のジャンプにやや難があったこと(FarCry3が、というよりFPSが、という話だと思うが)等からややマイナス。それを除けばまぁまぁ全体的にストレスは少なかったか。

 音楽。そもそもあまり重視されていない感じ。印象に残ったのは唯一火炎放射器で畑をアレするシーンの陽気な楽曲くらい。

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 進行度として、2つあるエンディングはどちらも到達済み。
 電波塔、基地はすべて攻略済み。
 大量に存在する収集品はあまり手つかず。気が向いたら集めます。